子どもの頃、わかめは髪によいからたくさん食べなさい、と言われて海藻を食べていた人もいると思います。
現に、私も子どもに「わかめを食べると髪がきれいになるよ」とすすめている一人です。
しかし「わかめを食べると髪の毛が増える」という話は、果たして本当なのでしょうか。
髪がきれいになるのと髪が増えるのではまったく状況は異なりますが、脱毛症に悩む男性がわらをもすがる思いで海藻を積極的に摂っているという話も聞きます。
実は海藻を食べると髪が増えるという話は科学的な根拠のない全くの迷信だそうです。
日本人の理想とする黒髪が、昆布やひじきなどの海藻から連想されることからこのような迷信が生まれたという一説もありますが、いずれにしても医学的には意味を持たないことなのです。
髪の毛を構成しているのはタンパク質ということを理解すれば、海藻をたくさん食べても髪がフサフサ生えてはこないことは簡単に理解できると思います。
ただ、海藻類に多く含まれるヨウ素などのミネラル類は、髪にツヤと張りを与えるので美しい頭髪を保つには効果があると言えます。
髪と地肌を健康に保つためには、海藻類も含めた多種の食品をバランスよく摂ることが大切です。
脱毛症の改善においては、海藻に含まれるヨウ素が髪の色素を作り、亜鉛が髪の毛の生成を手助けします。
頭髪の成長する環境を整えるためには、ひとつの食材ばかりを偏って摂っていては逆効果となるので注意してください。
栄養バランスのとれた食事というのは、脱毛症の改善に限らず私たちが健康的な毎日を送るために必要不可欠な要素です。
しかし、毎日よく考えていろいろな物をバランスよく摂っていてもすぐに脱毛症の症状が良くなるわけではないので、このような基本的な生活の改善というのは軽視されがちなのです。
ダイエットによる栄養不足が脱毛に影響していることからも、食事内容を見直し、整えていくことが髪の健康につながると言えます。
髪の毛を作る成分はケラチンという硬タンパクです。
そのため、良質のタンパク質を積極的に摂ることが大切です。
しかしタンパク質が大切だと聞くと肉類を中心とした食事を増やす人もいますが、それでは脂質の摂り過ぎになりますので、魚、大豆食品、牛乳、卵などいろいろな食品からタンパク質を摂るようにしましょう。
そして髪の健康を保つために、ビタミン・ミネラル類をバランスよく摂るようにしましょう。
ビタミン類を摂取するためには緑黄色野菜、果物を、またミネラル類を摂取するためには魚介類や海藻類も摂りたいものです。
ケラチンは多くのアミノ酸から構成されていますし、ビタミン・ミネラルにもたくさんの種類があります。
どんな食品にどのアミノ酸やビタミン・ミネラルが含まれているのかを全て把握するのはまず不可能でしょう。
そのため、あまり細かいことには捉われず、同じような食事内容を何度も繰り返さないよう心がけ、たくさんの種類の食品を食べるようにしましょう。
赤、青、黄色と彩りのよい食事はバランスもよい、と聞いたことがあります。
ご参考まで…
皆さんは睡眠不足が肌荒れに大きな影響を与えていることはご存知でしょう。
もちろん肌荒れだけでなく、きちんとした睡眠をとれていないと頭痛や全身の倦怠感などその他の体調不良も引き起こします。
睡眠が肌の調子と大きく関わっているということは、頭皮の状態にも影響してくるということです。
つまり、脱毛症に悩んでいる人は睡眠という生活リズムを整えるところから始める必要があるということです。
髪の毛の毛母細胞の分裂は午後9時頃にピークを迎え、午後10時から午前2時の間に髪の毛はもっとも成長すると言われています。
その間にしっかり眠れなかったり睡眠時刻が不規則になったりすると、頭皮での血流量が減って髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。
理想的な睡眠時間は6〜8時間ですが、例え短い睡眠しか取れない生活でもしっかり熟睡できる質の良い睡眠を取ることが大切です。
寝室は暗く静かな環境にし、午後には軽い運動を取り入れると心地よい眠りにつけると思います。
また入浴は寝る時間の2時間ほど前に済ませ、寝る前のカフェインやニコチンは避けたいものです。
なかなか寝付けないときに、お酒を飲んで眠ってしまおうという人もいるようですが、就寝前のアルコール摂取は避けてください。
眠りが浅くなったり、鬱気分が強くなったりということもあります。
またアルコールの力を借りて眠る、ということを繰り返すうち、アルコール依存症になってしまっても困ります。
睡眠時間の乱れは食生活の乱れにもつながり、そこから脱毛症の症状が悪化しかねません。
いろいろな治療を試す前に、まずは基本的な生活リズムを整えることが何より大切です。
男性型脱毛症への対応として有効な成分「ミノキシジル」を含む育毛剤については前にもお話しましたが、日本では「リアップ」と女性用の「リアップレディ」に1%の濃度で含まれています。
それに対し、アメリカで販売されている育毛剤「ロゲイン」には5%濃度のミノキシジルが含まれています。
女性向けの「ロゲインフォーウィメン」には2%濃度と、こちらも日本製の育毛剤より高濃度でミノキシジルが含有されています。
「濃度が高い方がより効きそうだから、外国製の育毛剤を一度使ってみたい」脱毛症に悩む人なら一度はそう思ったことがあるかもしれません。
確かに有効成分の濃度が高い方が、発毛効果もよりあるのではないかと思われますが、その分、頭皮を荒らしてしまう可能性も高くなってしまいます。
日本製の育毛剤のミノキシジル濃度が低く設定してあるのは、一般的に日本人の頭皮が欧米人よりデリケートであるためと考えられます。
日本の育毛剤は、平均的な日本人を想定して頭皮を荒らすことなく発毛効果が期待できる濃度として1%にしてあるのです。
個人輸入などで外国の育毛剤を試してみる場合は、頭皮が薬に負けて荒れを起こしていないか十分注意しなければなりません。
また同じ理由から、複数の育毛剤を同時期に使うことも控えましょう。
違う成分が入っている育毛剤を一緒に使うことで、多面的に頭皮に働きかけてくれるのではないか、と考える人もいますが、頭皮が荒れてしまう恐れが出てきます。
育毛剤の説明書に「他の育毛剤を一緒に使わない」という内容が書かれていたら、それを守るべきです。
数ある育毛剤の中から、自分の脱毛症のタイプに合わせてひとつを選んだとします。
「使った感じが心地よかったので、ひとまずこれを半年間、続けてみよう」とせっかく決めたものですので、より効果をあげるために、また正しく使って有効性をきちんと見極めたいところです。
適切な使い方とは説明書に記載されている通りの使い方をすることです。
育毛剤の説明書には必ず用量や使用回数、注意事項などが詳しく書いてあります。
使用するタイミングは、シャンプー後に水分をよく取り除いたらすぐ使うのがおすすめです。
例えば1日2回使用するタイプの育毛剤であれば、1回は入浴直後に使うとよいでしょう。
育毛剤の成分は頭皮の毛穴の多い部分から吸収されやすいので、シャンプーをしてフケや脂などの汚れを取り除いた清潔な頭皮に使用すれば、汚れた頭皮に使うよりよく吸収されることが期待できます。
しかしここで気を付けていただきたいのが、頭皮を荒れた状態にしない、ということです。
清潔な頭皮の方が育毛剤の成分が吸収されやすい、ということで、ゴシゴシと力を入れてシャンプーしたり、一日に何度もシャンプーしたりという人もいるようですが、それでは頭皮を傷つけてしまいます。
シャンプーのし過ぎで頭皮に炎症が起これば、さらに脱毛症の症状を進行させてしまいます。
例えば水仕事が続くと手が荒れたり、疲れて肌荒れが起きたりということは多くの人が経験していると思います。
頭皮も手や顔と同じ皮膚ですから、同じことが言えるのです。
優しく扱うことが大切です。
自分の薄毛や脱毛症に気付いて心配になった人の多くは、市販の育毛剤を試してみようかと考えたことがあると思います。
現在、日本でもたくさんの育毛剤が販売されており、どれを選びどのように使えば効果的なのか迷ってしまうことでしょう。
育毛剤に含まれている有効成分は様々ですが、今のところ育毛剤の働きとしては「頭皮の血流を改善する」「毛母細胞を活性化する」の2つに大別できます。
では自分の脱毛症のタイプを考えたとき、どちらの働きを重視して育毛剤を選んだらよいのでしょうか。
まず自分の頭皮を見た感じ、全体的に脂っぽく血の巡りも良さそうで、血行不良という言葉はあてはまらない。
しかしある年齢から髪の毛が細くなってきて、ボリュームが少なくなったというタイプであれば、毛母細胞を活性化させる育毛剤を選んでみてください。
一方、体調不良や血行不良で頭皮に十分な栄養を届けられていないのではないか、というタイプなら血流を改善する育毛剤を試してみる、というのがひとつの考え方です。
このタイプの人に多いのは、髪の毛が段々と細くなってくるのではなく、ある時期から急に抜け毛が増えてきた、というパターンのようです。
しかしながら実際のところ、どんな育毛剤でも使ってみなければわからない、ということが多くあります。
使ってみた感じが心地よければ、それが自分に合った育毛剤とも言えます。
ただし数種類の育毛剤を短期間にいろいろ使うのは、どの育毛剤に効果があったのかわからなくなるのでお勧めできません。
使い心地がよかったと感じる育毛剤があれば、とりあえず6ヶ月間は使用を続けてみてください。
効果があれば3ヶ月から6ヶ月で実感できると言われます。
円形脱毛症においては、ほんの小さな1ヶ所の脱毛から全身の毛が抜けてしまう重度のものまで、その症状は様々です。
治療法や用いる薬についてもいろいろなケースが見られます。
ここでは一般的によく用いられている薬と治療法を紹介したいと思います。
●塩化カルプロニウム
末梢血管の拡張作用がある塗り薬です。
カロヤンガッシュという育毛剤などの主成分となっています。
●ステロイド
毛根の炎症を抑える塗り薬、あるいは飲み薬です。
●セファランチン
タマサキツヅラフジという植物から抽出された成分で、塗り薬か飲み薬として処方されます。
●ミノキシジル
発毛を促進させる作用のある塗り薬、あるいは飲み薬です。
●グリチルリチン
抗炎症、抗アレルギー作用のある飲み薬です。
カンゾウから抽出された成分です。
●液体窒素療法・ドライアイス圧抵療法
液体窒素を含ませた綿球、ドライアイスを雪状に固めたもので脱毛部分を刺激します。
●紫外線療法
リンパ球の異常な働きを抑制するため、患部に紫外線A波を照射します。
●免疫抑制剤
アトピー性皮膚炎の治療でも良い結果が認められている塗り薬、飲み薬です。
円形脱毛症における治療効果も期待されています。
●低出力レーザー
脱毛部や頸部にレーザーを照射し、頭皮の血流をよくします。
円形脱毛症はその多くが自然治癒すると言われていますが、やはり頭部に脱毛を見つけたときは早めに皮膚科に相談した方がよいでしょう。
治療が必要な場合は、早く始めた方が効果的に症状を改善させることができます。
女性を悩ませる髪のトラブルのひとつに円形脱毛症があります。
円形脱毛症とは名の通り、コインのような円形の脱毛が起こる病気です。
1円玉くらいの小さなものから数センチに及ぶもの、また楕円形のものがあったり、1ヶ所だけでなく数箇所にあらわれたり、また頭髪だけでなくまゆ毛や脇毛など全身の毛が抜けるケースもあります。
子どもから大人まで見られる病気ですが、多いのは20代となっており、特に女性は男性に比べて1.5倍の患者数があるようです。
円形脱毛症とストレスの関係を示す医学的なデータは報告されていないようですが、ストレスの多い状況になると円形脱毛症の発症を繰り返してきたという事例は数多く報告されています。
小さな円形脱毛症は自然治癒することが多いのですが、一度治っても再発するケースはよくあるようです。
また円形脱毛症の人にはまじめで几帳面な性格の人が多いことから、やはりストレスが円形脱毛症を起こすひとつのきっかけとなっていると言えるでしょう。
最近では、円形脱毛症が自己免疫疾患のひとつだという見方が強くなっています。
私たちの体には、最近やウィルスなどの外敵が進入しないように守ってくれる免疫があり、その働きを主に担っているのがリンパ球となります。
円形脱毛症患者の脱毛部分を観察すると、毛根にリンパ球が集まって毛根が萎縮しているのだそうです。
何かをきっかけに、本当は自分の体の一部である毛根を、リンパ球が外敵と勘違いし攻撃したため、毛髪の成長が止まってしまっているのです。
今や脱毛症は男性だけの悩みではなくなっています。
それも年配の女性ではなく、若い女性の間で抜け毛や薄毛に悩む人が増えているそうです。
ここでは女性によく見られる脱毛症について見ていきましょう。
●頭皮トラブルによる抜け毛
今は一般的となっているパーマやカラーリングに使われる薬剤が、髪や頭皮に影響を与えます。
ドライヤーの熱も同様で、これらの刺激によって頭皮が荒れ、トラブルを起こし、結果的に抜け毛につながっているのです。
刺激の少ないヘアケア製品を選び、シャンプーやブラッシングをする時も頭皮を傷つけないよう気をつけましょう。
●ダイエットによる抜け毛
ダイエットをして必要な栄養分が摂れず、肌荒れを起こした経験のある人もいることでしょう。
過度なダイエットを行なうと、毛やツメ、皮膚の形成に悪影響を及ぼします。
鉄欠乏性貧血を起こし、抜け毛も多くなってしまいます。
●出産後の抜け毛
出産後にホルモンバランスが通常状態に戻る際、それまで成長期が維持されていた毛包が一気に休止期に入るため、一時的に抜け毛が多くなります。
数ヶ月後には回復していきます。
●病気に伴う脱毛
甲状腺の病気、卵巣機能の低下、貧血など、薄毛を心配して皮膚科を受診した際に別の病気が見つかることもあります。
●トリコチロマニア
抜毛症と言われ、無意識のうちに自分の髪の毛やまゆ毛などを抜いてしまうものです。
以前は小学生くらいまでに見られる症状とされていましたが、最近は20代の女性にも増えているようです。
●ストレスによる抜け毛
女性が社会進出するようになったことで、大きなストレスが心身ともに圧し掛かってきています。
円形脱毛症の原因のひとつではないかと言われているように、ストレスは脱毛を誘引するきっかけと考えられています。
髪の毛にまつわる迷信にはいろいろなものがあり、どれも興味深く、その所以を調べてみるのも面白いものです。
ただ、そのすべてが正しい情報であるかと言ったらそうではなく、真実かただの迷信なのかを見極めなければいけません。
脱毛症の改善を望んでいる人は、どんな迷信でもいいから髪の毛にまつわる話はすべて吸収したいと思うかもしれません。
そこで、ここではそんな迷信のひとつ「帽子をかぶるとはげる」という話について、見ていきたいと思います。
まず帽子をかぶるとはげると言われるのは、帽子による蒸れが頭皮に悪さをするためと考えられます。
実際、頭皮が蒸れることは脱毛症を起こすひとつの誘因になります。
そのため風通しの良い蒸れない帽子を選ぶことと、長時間かぶりっぱなしにしないことが大切になります。
しかし帽子をかぶっていると必ずしもはげるとは言い切れません。
帽子をかぶって仕事をしている人に脱毛症が多いかと言うと、そうではないからです。
むしろ、帽子は頭髪を紫外線から守るために活用したいアイテムと言えます。
紫外線が頭に当たると、頭皮に日焼けの炎症が起こります。
髪の毛では紫外線を浴びることによってアミノ酸の結合変化が起こり、髪のキューティクルがはがれ、乾燥が進んでしまいます。
乾燥による脱毛もありますので、頭髪を守るためにも紫外線を浴びない努力は必要になります。
帽子を選ぶ際は、UVカットされたものが望ましく、できれば黒など色の濃いもの、通気性のよいものを選ぶようにしてください。
女性は日頃から紫外線を気にしている人が多いのですが、男性においては紫外線には無関心という人がほとんどでしょう。
しかし今まだ髪がフサフサしている人も、今後の抜け毛予防対策として、帽子を活用して頭髪を紫外線から守っていくことが大切なのではないでしょうか。
額の生え際など狭い範囲での脱毛症に特に有効な方法が自毛植毛です。
脱毛症を何とかしたい、と考えている人の中には、例えばお見合いなど何か目的があって急いで髪の毛を増やしたいという人もあるかと思います。
そのような人には自毛植毛で対応するのは難しいと言えます。
と言うのも、自毛植毛では植毛してからすぐふさふさになるわけではない、というデメリットがあるのです。
手術後しばらくの間は移植部分の毛が一時的に抜けたりもします。
それは移植した自毛がたまたま休止期に入ってしまった場合と考えられます。
毛包がきちんと生きていれば、そこから再び新しい髪の毛が生えてきます。
自毛植毛で髪が生え揃うまでには6から8ヶ月かかります。
移植した髪の毛が一時的に抜けたり目に見えて効果があらわれるのに長期間を要したりするのは、自毛植毛の目的が、髪の毛を植えるのではなく「毛包」を植えることにあるからです。
髪の毛を作る毛包を移植し、長い目で見て自分の髪の毛をそこに生えさせる方法なのです。
しかし見た目に明らかな効果を求めてしまうのは誰でも同じです。
長い期間かかっても、成功率が高ければ納得もできます。
では自毛植毛の生着率はどれくらいなのでしょうか。
手術法や施設にもよりますが、きちんとしたクリニックであれば、95%ほどが生着するそうです。
これは心強い数値ですよね。
このような高い成功率を挙げるためにも、生命力の強い毛母細胞を確実に移植するため毛包を傷つけないような高度な技術が求められます。
男性型脱毛症をカバーする方法のひとつとして植毛があります。
また人工毛を使った植毛と自毛植毛の2通りがあることもお話しました。
ここでは現在、より安全性が高いと言われる自毛植毛について、その手術法を紹介したいと思います。
植毛術にはいくつかの方法がありますが、現在もっとも一般的なのは「遊離植毛術」と呼ばれる方法です。
この方法ではまず後頭部の頭皮をブロックとして採取します。
それを毛包単位に細かく分け、1株ずつ脱毛部分に移植していきます。
最近では自毛植毛の機器も発達し、メスを使わない手術法が行なわれています。
これは細いチューブを使って後頭部から1mm以下の単位で髪の毛をくり抜くように採取し、直接移植部分に植え込む方法で、後頭部の傷がほとんど残らない点と移植毛の生着率が高い点が優れていると言えます。
移植毛も採取してから植え込むまでの時間が短い方がしっかり定着する可能性が高くなるのです。
この他、ティシュエキスパンダー法という方法もあります。
これは髪の毛のある部分の皮下にシリコンバッグを挿入し、そこへ生理食塩水を徐々に入れてふくらませ頭皮を伸ばし、ゆとりのできた頭皮で脱毛部分を覆う方法です。
瘢痕性の脱毛症によく用いられる方法です。
植毛のイメージとしては、重度のやけどを負った時などにその皮膚を切り取って別のところから皮膚を移植する治療と似ていると思います。
自分の頭皮から摂取できる髪の数には限りがあるため、自毛植毛は生え際などの比較的狭い範囲をカバーするのに適した方法と言えるでしょう。
脱毛症はお医者さんで治療できるものです。
数々の育毛剤が市販されていますが、医師によって処方されなければ服用できない薬もあります。
医師による薄毛や脱毛の治療には、症状を見ながら適切な薬が用いられます。
さて、このように内用薬や外用薬の他に脱毛症対策として皆さんによく知られているのが「かつら」ではないでしょうか。
かつらと聞くと、人工毛がついたかつらをピンで自分の髪に留めるタイプを思い浮かべる人が多いと思います。
昔ながらの「ずれる」イメージのかつらですね。
しかし今では技術の進歩もあって様々な工夫がなされた多様なかつらが出てきています。
ここではどんなタイプのかつらがあるのかをお話したいと思います。
●金具タイプ
昔ながらのかぶるタイプのかつらで、取り外しができる反面、ずれてしまう可能性もあります。
自分の髪の毛に金具でかつらを留めるので、その部分の自毛が傷むこともあります。
●編みこみタイプ
自分の頭に糸でベースとなる部分を編みこんで作り、ネット状のかつらをベースにかがりつけます。
ずれたり蒸れたりすることがなく快適ですが、定期的なメンテナンスが必要となります。
●頭皮密着タイプ
自分の頭髪を剃り、そこへ薄い人工皮膜で作ったかつらを直接貼り付けます。
スポーツや洗髪も可能といったメリットがありますが、接着剤が肌に合わなかったり数週間で貼りなおす必要があったりという難点もあります。
●結毛式タイプ
薄くなった部分にまだ残っている髪の毛の根元に人工毛を結びつける技術です。
不自然さはあまりなく、毛の流れや長さに合わせて自然なスタイルが作れます。
しかし元の毛が抜ければ結んだ人工毛も一緒になくなるため、定期的に結び直しを行なう必要があります。
脱毛症はお医者さんに相談して治しましょう、と言われるようになったきっかけがフィナステリド(商品名プロペシア)という薬の登場ではないでしょうか。
これは飲み薬で、男性型脱毛症における頭頂部や前頭部の脱毛を抑制する働きがあると言われています。
日本でも脱毛症が改善された事例が報告され、また安全性においても心配のない薬であるとされています。
しかしどんな薬でもそうですが、副作用を心配しない人はいないと思います。
特に飲むタイプの薬では効果的であればあるほど「強い薬」とのイメージから飲むことを躊躇してしまう人も多いことでしょう。
男性型脱毛症に処方されるフィナステリドにおいてはどうなのでしょうか。
製薬会社の使用説明書を見ると、肝機能障害のある人は慎重に使用すること、妊娠している可能性のある人には使用しないこと、授乳中の人には使用しないこと、などが挙げられています。
妊婦が服用してはいけない理由は、男児を妊娠していた場合に胎児の生殖器官の発達に影響を及ぼす(奇形をおこす)おそれがあるためです。
また副作用として、まれながら性欲減退と勃起不全などがあるそうです。
この副作用については非常にデリケートな問題ですが、医師に「この薬を飲むと、性欲減退などの副作用が表われることもあります」と聞いたためにそれが暗示的な作用となってしまうことも考えられます。
また脱毛のために精神的に自信をなくしていることが原因かもしれません。
しかし実際に薬の副作用として表われた症状であれば、内服を中止することで消失します。
前にヘアサイクルについてはお話しましたが、これが正常にまわっている場合は毛が抜けても再び同じように生えてきます。
しかしこのサイクルがふとしたきっかけでうまく行かなくなると、成長期が短縮して毛が弱々しくなり、いずれ脱毛症が始まってしまいます。
脱毛症に悩む人の中には、市販の育毛剤を試したことのある人も数多くいることでしょう。
育毛剤には頭皮や毛穴を清潔にする成分や血行を促進する成分、栄養を与える成分などが含まれ、毛を作る毛包が脱毛モードに入らないような環境を作ります。
テレビCMなどで聞いたことがあると思いますが「フラバノン」や「アデノシン」は最近、毛母細胞や毛乳頭への作用が認可された成分です。
血行を促す成分としてはチンキ、塩化カルプロニウム、ビタミンE誘導体などがあり、栄養を与える成分としてはペンタデカン酸グリセリド、ソフォラ抽出エキス、ニンジンエキス、ニコチン酸アミドなどがあります。
またヒノキチオールやβグリチルレチン酸は炎症を抑える作用や抗菌作用が期待される成分です。
効果の有る無しには関わらず、医学的な検証を経ていないものは化粧品や医薬部外品として扱われています。
上記に示した成分は医薬部外品に含まれている成分になりますが、医薬品に含まれる成分にはミノキシジル、フィナステリド、セファランチンなどがあります。
育毛剤によって頭皮の環境を整えることは脱毛症の進行を遅らせるには有効だと思いますが、あくまで育毛剤は毛包が毛を作るための応援団として使用し、劇的な変化は期待しない方がよいでしょう。
薄毛で悩む男性の多くは男性型脱毛症と言われます。
その男性型脱毛症の対策として、内服薬や外用薬、かつらなどがありますが、ここでは外科的な施術である植毛についてお話します。
薄毛対策として知られている植毛ですが、これは頭皮に穴を開けて毛を植え込む方法です。
植え込む毛には人工毛と自毛の2種類があります。
人工毛の場合、ナイロンなどの合成繊維を植え込むため、メンテナンス面や拒絶反応といったリスクも伴います。
植え込まれた人工毛は伸びないため、周囲に生えている自分の髪の毛とのバランス調整が必要になります。
また自毛が抜けるたびにその部分に植毛を続けなければならず、術後に継続したメンテナンスが必要です。
そしてナイロン素材は人間の体からすると異物になるため、拒絶反応も起きてしまいます。
人工毛を植え込むときは抜けにくくするため、毛根部をかぎ状に細工するなどの工夫がなされています。
そのため何かのきっかけで上の部分だけ抜けてしまって毛根部が皮下に残り、頭皮が化膿してしまうケースもあります。
現在、人工毛についても研究や開発が進められているので、より体に影響の少ない素材で人工毛が作られることが期待されます。
一方、自毛を使った植毛では自分の後頭部の毛髪を採取して薄い部分に植え込みます。
自分の頭髪を使うため、植え込みが可能な本数に限りがあり、施術にも高度な技術が必要となります。
しかし上手く生着するとそこから自分の毛が生えてくるため、現在の植毛の中では最善の方法と考えられています。
脱毛症の治療では、いろいろな角度から取り組んでいくことでより効果を挙げられると感じています。
男性型脱毛症において脱毛の進行を抑える役割を果たす守りの薬が「フィナステリド」であれば、発毛を促進する攻めの薬が「ミノキシジル」であると言えます。
主に塗り薬として使われるミノキシジルは、濃度が高い方が効果的であると思われるかもしれませんが、濃度が高くなるほど頭皮に炎症が起こる可能性も高くなることを忘れてはいけません。
接触性皮膚炎により、薬を塗った部分が荒れてしまうケースも中にはあるのです。
他の副作用としては、もともと降圧剤だったため、ミノキシジル使用中に血圧が下がる可能性があります。
実際には塗り薬としてミノキシジルを使用しても血圧に影響が出ることはほとんどないのですが、血圧に異常がある人や心臓に障害がある人などは慎重に使用しなければいけません。
また、朝起きたときにまぶたがむくんでいるといった症状がごくまれに起こるそうです。
この症状は薬の使用を続けるうちに消えていきます。
ミノキシジルを飲み薬として使用する場合は、体毛が増えるという副作用も見られます。
この他の問題として、育毛剤などの薬は、使用をやめると再び薄毛や脱毛を起こしてしまう人が少なくないのも事実です。
ミノキシジルの治療をやめた後、髪の健康のために体質や健康状態、生活環境をどのようにしていくのかをよくお医者さんと相談しておく必要があります。
抜け毛や薄毛で人知れず悩んでいる人はたくさんいて、なかなかこれと言った解決策に辿り着けていない人がほとんどのようです。
男性型脱毛症は言ってみれば人が年齢を重ねて起こる自然現象であって、病気ではないため保険も利かず、積極的に治療する対象ではないのかもしれませんね。
市販の育毛剤をいくつも試したけど効果が実感できなかった人にとって、自毛植毛は「確実に効果を得られる」方法として最後の希望となっているかもしれません。
しかし確かな技術を持ったクリニックで行なえば安全かつ効果的な自毛植毛も、ケースによっては施術を行なえません。
どんなケースで植毛できないのか、ここでお話したいと思います。
まず、円形脱毛症の場合です。
円形脱毛症では毛が抜けた部分でも皮下で毛包が生きているので、ステロイド治療や自然治癒により再び毛が生えてきます。
そのため植毛はすべきではないのです。
次に頭皮に脂漏性皮膚炎で湿疹ができていたり、人工毛植毛の結果、頭皮が化膿していたりする場合も、頭皮の炎症が治まるまでは施術できません。
特に人工毛植毛が原因で頭皮が化膿している場合は、一度人工毛を全て取り除く作業から始めなければなりません。
感染による頭皮の炎症が治癒してからの施術となります。
糖尿病や心臓病などの基礎疾患がある人も施術を受けるのは難しいでしょう。
心臓病の人では手術が体の負担になりますし、糖尿病の人は植毛の際の患部が化膿しやすくなります。
最後に、広い範囲で脱毛が進んでいる人、植毛後の期待が大き過ぎる人にも自毛植毛は向きません。
なぜなら自毛植毛に使う材料はあくまで自分の後頭部から切り取る一部の頭髪で、その数が限られているからです。
自毛植毛術の限界を理解することも大切です。
薄毛で悩む人の多くが男性型脱毛症であると言われます。
ここではその男性型脱毛症のメカニズムについてお話します。
ヘアサイクルについては前に説明しましたが、男性型脱毛症ではヘアサイクルの成長期が短くなり、太くて硬かった髪の毛があまり成長していない細くて短い髪の毛へと置き換わっていくことで始まります。
これを硬毛の軟毛化と言います。
普通なら5年くらいは伸びるはずの髪の毛が、成長期の短縮によって1年も伸びなかったとします。
すると髪の毛が十分に成長しなかった分、毛根も太く成長できないうちに休止期に入ってしまうことになります。
十分に成長できなかった毛根から3ヵ月後くらいに再び新しい毛が生えてきて、それも1年しないうちに抜けてしまいます。
これを繰り返すうちに毛根が痩せていき、細くて短く軟らかな毛が増え、うぶ毛状態になっていきます。
さらに進行すると、休止期のまま成長しない毛根が増え、新しく毛を生やさなくなり、最終的に細く柔らかい毛の本数までも減ってしまいます。
毛母細胞の成長を抑制しているのがジヒドロテストステロンという物質で、これは男性ホルモンであるテストステロンから、5αリダクターゼという酵素の働きによって作り出されたものです。
5αリダクターゼの働きが強まると、男性型脱毛症の症状が進むというわけです。
脱毛の進行を抑えるための薬「フィナステリド」は5αリダクターゼの働きを抑制するものです。
フィナステリドは新しく毛を生やすのではなく、硬毛の軟毛化を抑える働きをします。
薬効については後ほどお話したいと思います。
市販の育毛剤をいろいろ試している人はたくさんいますが、医師に相談してまで本格的に治療を考えている人はまだ少ないかもしれません。
まだ自分で何とか対処できる、という思いや、クリニックでの治療は莫大な費用がかかるというイメージを持っているからではないでしょうか。
実際、男性型脱毛症の治療に健康保険はきかず、治療費は全額自己負担になるためお金がかかるというのは事実です。
これは男性型脱毛症が自然な生理現象であるという考えから、自由診療とされているためです。
美容外科や歯の矯正などと同じで、治療しなくても体に障害が残るわけではない、というわけです。
(体に障害が残らなくても、精神的にはかなりまいってしまいますけどね)
植毛手術はもちろんのこと、フィナステリド内服薬も生活改善薬という位置づけなので保険はききません。
外科的な治療も薬物治療もすべて自己負担となります。
ただし例外として、事故や火傷で怪我を負った部分が瘢痕性脱毛症になってしまった場合など、一部の治療法に対して保険がきくこともあります。
脱毛症を何とかしたい、と考えたとき、コスト面から対処法を選ぶことが多いと思います。
自毛植毛のように初期費用がドーンとかかるものは敬遠されがちですが、後々のメンテナンスなど維持費も合わせて考えると、トータル的にはかつらなど他の方法と大差ないかもしれません。
いずれにしても自分の脱毛状態を自己判断せず、一度専門の医師に対処法を相談するとよいと思います。
脱毛症の悩みを解決する方法にはいくつかありますが、その中でも後々のメンテナンスが必要ないという点で言えば自毛植毛がすぐれていると思います。
しかし頭に育毛剤をつけるのとは違って手術を行ないますし、費用もかかります。
不安なこともたくさんあることでしょう。
ここでは自毛植毛の手術に対する不安や疑問としてよく挙げられる項目についてお話します。
●痛みは?
頭皮に局所麻酔をしながら手術を進めていくので、痛みを感じることはありません。
手術にかかる時間は1時間から4時間程度で、中には眠って手術を受けている人もいるようです。
また手術中にも状態を見ながら局所麻酔を追加する場合もあり、途中で麻酔が切れてしまったら…という不安は必要ないそうです。
●後遺症は?
毛を移植した部分の根元に血液が固まってかさぶたができます。
これは1週間ほどで自然にはがれてきれいに治ります。
後頭部の頭髪を採取した部分はメスで切り取って縫合してありますので、腫れや痛み、頭皮の違和感を覚える人もいるようです。
またまぶたや額の腫れを訴える人もいます。
これらは手術後1週間程度で改善するようです。
●周囲に気付かれない?
手術当日は包帯を巻いて帽子をかぶり帰宅し、翌日にもう一度通院して消毒を行ないます。
数日は頭皮の腫れや軽い出血がある場合もありますが、仕事には差し支えない程度でしょう。
脱毛症の治療を行なう人の中には手術したことを周囲に気付かれたくないと言う人が多いのですが、ある程度髪が残っている場合では手術前に髪を伸ばしておくことで、術後のかさぶたを隠すことができます。
しかしやはり手術後の数日間はお休みを取って、患部を落ち着かせてから出勤できるとよいですね。
男性型脱毛症に悩む人の希望となり得る自毛植毛の技術は、実は戦前の日本人研究者が元祖だったようです。
その研究結果が戦争に埋もれてしまった一方で、医療先進国であったアメリカで植毛手術が発表され、そこから世界中に広がっていきました。
最近になって日本人研究者の論文が発見され、ようやく日本人の貢献が認められたようですが…
日本ではまだアメリカほど自毛植毛に対する認知度が高くありませんが、それでも専門クリニックはその数を増やし、脱毛症の患者にとって大いに期待されているところです。
自毛植毛はひとつの美容外科手術といったようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、自毛植毛には細かい技術と多くの人手を要するため専門のクリニックを選んで施術を受けるべきでしょう。
クリニック選びの際に重要視したい質は、何と言ってもまずは医師の知識と経験、技術にかかっています。
加えて植毛後のトラブルにも対応しているか、アフターケアについても確認しておくとよいでしょう。
施術前のカウンセリングも大切です。
手術前にメリットだけでなくデメリットやリスクに関しても十分な説明を行ない、その上で手術を受けるか受けないかを患者自身が決められる考え方(インフォームド・コンセント)が徹底されていることも重要です。
インターネットホームページを開いているクリニックでは、手術費用や方法などを積極的に公開していることでもある程度の信頼性が判断できると思います。
実際にそのクリニックで施術を受けた人の患者目線での意見を聞くことができる口コミも参考になります。
現在、若い人たちから中高年、そして男性だけでなく女性まで様々な人たちが薄毛や脱毛症など髪の毛の悩みを抱えています。
それらの薄毛や脱毛症をどのように治療していくかを考える上で、今の症状が進行性の脱毛症なのか、あるいは一時的なものなのかを区別する必要があります。
私たちの髪の毛は、毎日シャンプーやブラッシングをする度に何十本か抜けていきます。
また髪をつかんで引っ張れば抜けますし、ストレスからごっそり抜けてしまうこともあります。
年をとれば自然に髪は細くなり、ボリュームが減ってきます。
また人によってはある年齢から額の生え際や頭頂部の髪が成長せず、段々うぶ毛のようになり、髪の毛の本数も減っていくこともあります。
これを男性型脱毛症と呼びます。
このように人間の髪の毛は、いろいろな理由や成り行きから抜けたり薄くなったりします。
中でも加齢に伴う薄毛や脱毛と男性型脱毛症は、体の中で起きている変化により時間の経過とともに進行していくタイプの脱毛症になります。
それに対して頭皮のトラブルや体調不良、薬物トラブル、何らかの病気、ストレス過剰などの影響によるものは一時的な脱毛症になります。
また、頭部にコイン大の脱毛が見られる円形脱毛症は自己免疫疾患のひとつではないかと言われていますが、これも一時的なタイプに入ります。
自分を悩ませている脱毛がどんなタイプであるのかを把握しておくことで、治療に立ち向かう術や工夫も見つけやすいものです。
髪の毛が薄くなってきて悩んでいる男性は思った以上にたくさんいます。
周囲は何とも感じていなくても、自分は薄毛だと思い込み落ち込む人もいます。
「どうして男ははげるんだ?」そんな風に感じているのでしょう。
男性の薄毛の多くは男性型脱毛症(AGA)で、その誘因となるものには遺伝や加齢、男性ホルモンの影響などがあります。
中でも大きく関わっているのがテストステロンという男性ホルモンの一種で、これが特殊な酵素と結びつくことによってジヒドロテストステロンという物質になり、脱毛を促進させてしまうのです。
この特殊な酵素というものが前頭部と頭頂部に多く存在するため、額の生え際と頭頂部で脱毛が起こってきます。
逆に側頭部と後頭部では脱毛が起きにくいのです。
男性型脱毛症にもっとも多いタイプが、額の両側から生え際が後退していくM型です。
頭頂部から薄くなるO型は日本人に多いタイプです。
またテストステロンは男性の方がより多く持っていますが、女性も体内にこのホルモンを持っているため脱毛症を起こすことがあります。
この他の要因として遺伝的な要素もありますが、薄毛になりやすい「体質」が遺伝するのであって、父親や祖父が男性型脱毛症であるからと言って必ずしもその息子が同じようになるわけではありません。
また脱毛は加齢に伴って徐々に進行する生理現象でもあります。
これら男性ホルモン、遺伝、加齢などによって脱毛症が引き起こされるわけですが、どれもきっかけに過ぎず、これが原因とは言い切れません。
この3つが揃っても薄毛にならない人もいるのです。
中高年だけでなく、現在は20代から30代の若い世代をも悩ませているという脱毛症。
その多くは体質的な脱毛ですが、ここでは病気で起こる脱毛症についてお話します。
●円形脱毛症
軽症の場合はコイン1つ分くらいの脱毛が起こり、半年から1年くらいで自然に治りますが、症状が中程度になると脱毛部位が広がったり多発したりします。
また重症の場合は頭髪が全体的に脱毛し、まつ毛やまゆ毛まで抜け落ちることもあります。
円形脱毛症はストレスによって起こるとよく言われていますが、まだその原因は解明されていません。
軽症の場合は自然に治りますが、中程度や重症になると治療のため皮膚科を受診した方がよいでしょう。
●自己抜毛症(トリコチロマニア)
精神的なストレスを主な原因とし、自分で髪の毛やまゆ毛、まつ毛を抜いてしまいます。
小学生から思春期にかけて、家庭環境の問題や勉強でのストレスなどによって起こりやすいと言われています。
抜毛が繰り返されると、もう毛が生えてこなくなってしまう(瘢痕性脱毛)ので、頭髪の専門医だけでなく精神科医とも協力して治療を進めていかなくてはなりません。
●甲状腺機能低下症による脱毛症
甲状腺ホルモンが少なくなる病気にかかると、毛の成長期が短くなり脱毛が起こります。
適切な甲状腺ホルモン剤の投与によって対応します。
●感染症による脱毛症
ヘルペスウィルス、真菌、ブドウ球菌などの感染により、頭部湿疹のような症状から脱毛が起こることがあります。
重症化して完全に脱毛してしまう前に、頭皮のかゆみ、赤みが続くようであれば、皮膚科を受診してください。
その他、抗がん剤によって起こる脱毛はよく知られています。
多くは薬の服用を中止することで、脱毛症状が止まります。
髪の毛は、フサフサと生えているときは特に大切に思ったりありがたいと考えたりしないものです。
しかし「ちょっと薄くなってきたかな」と一度気になり始めると、それがとても心の負担になり精神的苦痛をもたらします。
中には1本1本の髪の毛が抜けて行くことが怖くて、シャンプーさえ出来なくなる人もいるようです。
また、日本の成人男性の3人に1人が「自分は薄毛である」と認識しているという調査結果もあります。
このように髪の毛が抜けてしまう脱毛症はいろいろな要因が絡み合って起こると言われます。
また脱毛症の中には体質によって起こるもの、病気によって起こるものがあります。
ここでは体質によって起こる脱毛症について説明したいと思います。
●男性型脱毛症
思春期以降の男性に起こる体質的な脱毛症で、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの一種が原因で起こると言われています。
頭頂部、額の生え際の髪の毛がうぶ毛になって地肌が見えるようになり、進行していきます。
男性型脱毛症はAGAとも呼ばれ、成人した男性に発症する脱毛症の多くがこのタイプだそうです。
●びまん性脱毛症
女性に起こる体質的な脱毛症です。
男性型脱毛症で原因とされたジヒドロテストステロンという物質は女性の体内にも存在するため、同じメカニズムで女性にも脱毛が起こることがあります。
他に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が変動することによって脱毛が起こることもあります。
分娩後や更年期の脱毛がそれにあたります。
この他65歳を過ぎ、老化によって脱毛症が起こることもあります。